食べ物として食べた油脂は体内に消化吸収されれば区別は無くなるのではないですか?
それは誤解です。
油脂は体内で消化されて脂肪酸とグリセリンになります。が、その後吸収されると、ほとんどはまた結合して中性脂肪となります。
ここで誤解する方が多いようです。
たんぱく質の場合は、消化吸収されると、アミノ酸になり、人間の本来持っている成分となんら変わりなくなるのですが、油脂の場合は、脂肪酸とグリセリンにわかれるだけで脂肪酸の部分がそれ以上分解される事はないので、脂肪酸の部分の特徴は体内に入ってもそのまま残されることになります。つまり、牛肉を食べれば、室温では固形の飽和脂肪酸の、植物油を食べれば室温では液体の不飽和脂肪酸の特徴がそのまま残ることになります。(勿論動物性食品由来の脂肪にも不飽和脂肪酸が含まれますし、植物油にも飽和脂肪酸のものもあります。比率的に便宜的に述べています)ですから、食べる脂肪の内容によって、血中の脂質の形状も変わってくる事になります。人間よりも体温の高い豚や牛由来の飽和脂肪酸は、人間が本来体内で合成する飽和脂肪酸よりも融点が高く、人間の体温では溶けない部分が多いので、血液は粘度が増し、流れにくくなります。
(詳しくは、豊かさの栄養学2 新潮文庫 丸元淑生著 をお読み下さい。)
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