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Q5 母乳与えている場合、母親も食生活の改善が必要ですか?

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の場合、母乳を飲んでいれば、母親も食生活の改善が必要ですか?  

2001.11.17
アトピーなんか飛んで行け!の会

 勿論必要です。母乳について、少し考えてみましょう。

山本高治郎(1997年現在聖路加国際病院名誉医長)著
「母乳 」 岩波新書  より紹介します。

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●脂質は、脂肪酸が、グリセリンやコレステロールなどと結合した物質を総称する言葉ですが、その脂肪酸が人乳と牛乳ではかなり違っています。人乳に多い高級の(炭素の数が多いという意)不飽和脂肪酸は、必須脂肪酸とも言われ、ビタミンに準ずる扱いをされます。
 牛乳の脂肪酸は低級の(炭素の数が少ないという意)脂肪酸から高級のものまで幅広く分布しますが、飽和脂肪酸が多いのです。
 人乳に多い不飽和脂肪酸の中で特に重要なのは、リノール酸、リノレン酸で、炭素の数が18個あり、不飽和の部分つまり二重結合が炭素鎖の中に前者では二個、後者では三個含まれています。これらの不飽和脂肪酸を、哺乳動物は体の中で作ることができません。従って、「必須」という形容がつくわけで、大豆油、その他の植物油に多量に含まれています。
 そのため、牛乳の脂質をとり、植物油で置き換える技術が最近の育児用粉乳には使用されています。「○○油置換」とラベルにあるのはその表示です。その植物の油脂がよいか、置換すべき量はどれくらいが適切が、などは今後に残された問題です。
 母乳の中には不飽和脂肪酸が多いと書きましたが、それらは母親のとった植物性食品から由来したものです。 また、母乳の脂質は100%消化吸収されますが、活性度の高い脂質分解酵素が含まれているからです。この酵素は加熱によって壊れます。

●初乳が粘稠なのはたんぱく質の量が多いためです。また、外観が黄色であるのは、βーカロチンと呼ばれるビタミンA の前駆物質の存在のためです。初乳はビタミンAの他、もうひとつの脂溶性ビタミンでもあるEも成熟乳よりも多量に含んでいます。
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人間の母乳には、人間の赤ちゃんが必要な栄養素が本来はきちんとバランスよく含まれています。
それが、お母さんの食の乱れによって、食事の中にお肉などが多くなると、母乳中の動物性脂肪由来の飽和脂肪酸が多くて母乳がどろどろだったり、食事の中に植物油が多いと、植物油由来の不飽和脂肪酸が多くてなり、母乳の黄色みが強かったりします。
 ただし、食生活の改善をしたからと言って、直ちに効果が現れるとは限りません。母親の体内に動物性脂肪由来の飽和脂肪酸や植物油由来の不飽和脂肪酸がたくさん貯められていると、症状が良くなったり悪くなったりしながら、徐々に良くなって行きますので、時間がかかります。できれば、赤ちゃんが生まれる前に、食生活の改善を始められることをお勧めします。

 

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