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実例集その1

:食事法の方法は、年齢、体格、季 節、運動量、重症度などにより、それぞれ違いますので、ここに掲載された事例がそ のまま他の患者さんにあてはまるものではありません。あくまで参考としてご覧下さ い。尚食事の改善をされる場合は、医師に一緒に経過を見て頂くなど、ご自分で責任を もって、管理して頂きますよう御願いいたします。


ケース1 アトピッ子の母親を悩ませる脅迫観念「蛋白質が不足する」
(4才の男の子 (食事改善開始時2才))

 会員さんの声で紹介した N.Kさんの子供さんです。
アトピーの発症は、生後2カ月の時で、血液検査で食物アレルギーと診断され、 乳製品、肉類、卵、そばなどを除去していましたが、湿疹はなかなか治らず、顔、手 、足にかなりの症状がありました。  私がうちの近所で、初めてお会いした時は、手、足に包帯を巻き、元気に走り回る 事もできない子供さんでした。
その頃は私もまだ原因が分からず、アドバイスをしてあげる事もできなかったの ですが、その後、オーバーフローモデルを完成し、「蛋白質の過剰」タイプでは ないかと思うようになりました。しかし、お母さんは、育児雑誌によくある幼児のた めの食事指導を忠実に実行しており、少なすぎる事はあっても、多すぎる事は無いは ずだと言って、なかなか信じてはもらえませんでした。「除去食で蛋白質不足になる と、脳の発達にも影響する」という脅迫観念で、アトピッ子の母親は蛋白質不足には 非常に敏感です。しかし、よく一緒に遊んでいる同じ年齢の近所の子のお母さんに聞 いても、S君は随分よく食べる方であること、その割には運動量が他の子よりもかな り少ない事などから、一度試してみる事を説得しました。彼女がやってみる気になっ たのは、高熱が出た時に、湿疹がなくなる理由について、納得できたからのようでした。 アドバイス前は、

  • ご飯、野菜、芋、海藻中心の食生活で、3食の内1回、魚料理(50〜80g 位) 週に1〜2回パン食、揚げ物はほとんどしない
    という食生活でした。魚はだいたい1切れ70〜80g ですから、2才の子で1切れは やはり多いと思います。アドバイス後は、1週間だけ、
  • 3食のうち1回の魚料理の量を20g にする。肉にする場合は10gくらい。パン 食は減らす。
    を実行されました。
    結果は、ご本人が書かれているように、大変効果があり、蛋白質が多すぎだった事が わかりました。そして、その後は徐々に魚の量を増やして行き、適量を見つけられました。この食事法をしだしてから2カ月後の4月には、湿疹はほとんど無くなっ てしまいました。例年は、夏になってもかなりの湿疹がありましたから、季節変化に よる改善ではありません。
    このように、厚生省が出している栄養所要量は、安全率がいくつもかけられた、「こ れだけ食べれば栄養不足にだけは絶対なりません」という値です。運動量、個人差、 季節などにより、必要量はかなり違う事を認識する必要があります。また、蛋白質に 関しては、不足の害については神経質なほど注意されますが、過剰の害についてはほ とんど考慮されません。実は過剰の害の一つこそが、アトピー性皮膚炎だったのだと 思います。
    「 食物アレルギー」については、以前は「タチウオやメルルーサなどアレルゲ ンになりにくいとされる魚を食べさせても、湿疹ができるので不思議だ」と思っ ていたそうですが、実は、「アレルゲンになりにくいと思って、多めに食べさせ ていたような気がする」 そうです。もちろん今では量に気をつけているので、悪化する事はありません。卵だけは怖くてかなり長い 間避けていましたが、4才になってから、食べさせてみたらなんともなかったようで す。IgE 抗体値のみの結果で、除去食を指示される医師はいまだに多いのですが、 実際に食べてみての結果を重視して頂きたいものです。
    今ではずいぶん活発に動き回るようになり、逆に植物性油脂が「足りないちゃん」 ぎみのS君です。

    ☆ご本人の声


  • ケース2 結婚後お魚の回数が減っていました。

    (1才の女の子(食事改善開始時6カ月))

     会員さんの声で紹介した M.Kさんの子供さんで す。
    初めてお会いした時、Rちゃんは、少しは良くなって来ていたものの、ほっぺたが真 っ赤で、ひざ裏も赤く湿疹が出ている状態でした。「卵を必死で除去してるのに、こ の状態なんです。」とお母さんは不服そうにそう言いました。湿疹の様子、黄汁は出 ないという話から、私は「動物性脂肪過剰」タイプと判断し、アドバイスをしま した。「今まで脂肪が原因で湿疹が出るとは考えた事もなかった」そうで、 「和食がいいと言っても、「肉ジャガ」ではなんにもならないんですね。」 と、とても納得された様子で、すぐに入会し食事の改善を始められました。実は、会 を発足してから出会った初めての入会者が彼女です。
    7月に入会し、8月には口の周りに少し赤みが残る程度まで回復、10月には、もうほ とんどアトピーだったとは分からない程になりました。 母乳なので、お母さんの食 事を改善されたのですが、改善するうちに、おっぱいがさらさらになったそう です。「牛乳でも、低脂肪乳の方がさらさらしてますもんね」 と言われ、私も「なるほど!」と思いました。「米の磨ぎ汁様」と表現 する方 もいますが、「低脂肪乳」の方が説得力がありますね。その後は、肉類も少しずつ食 べて、どういう湿疹が出るか、どの程度まで大丈夫か試し、自分でコントロールでき るようにしてもらいます。今ではすっかり自信をつけてもらえたようです。
    ご両親にはアレルギー性の既往症は全くないとの事でしたが、結婚後はお魚の頻度 が減っていたそうです。もともと牛肉よりも鳥肉のほうが好きな事、すぐに納得して 下さったことで、とても回復が早かったようです。私は、「患者さん、ご家族が 納得した時が治る時」と考えています。

    ☆ご本人の声


    ケース3 揚げ菓子が大好きで、子供の入院をきっかけに重症化しました。

    (30代女性)

     初めてお会いしたとき、顔がまっ赤に腫れ上がり、あちこちに亀裂が走り、右目の 下のひっかき傷から黄汁が滴り落ちる状態でした。全身に湿疹があり、「無いのは足 首から先だけ」と言います。 私は見るなり  「植物性油脂過剰」タイプ と思いましたが、一応質問してみました。「最 近急に油っこいものを食べるようになったとか、急に運動量が減ったとか、心当たり はありませんか?」すると、以前から症状は有ったけど、子供が肺炎で入院し、付き っ切りで看病しだした後から急に悪化し、病院へ行ったが、妊娠中なので、薬は出せ ませんと言われ、薬以外には為す術がないと言われ、途方に暮れて、民間の料理教室 へ来られたそうです。
    私は、「黄色い汁は油(血液中の脂質のこと)が余って出てきているのよ」と言い、なるべく運動量を増 やすようにアドバイスしました。彼女はとても納得し、油の制限と一日1時間の歩行 を心掛けました。すると、黄色い汁は、2〜3日で透明の汁に変わり、やがて乾燥して きました。しかし、やはり噴き出し現象があ り、またじくじくになったり、乾燥したりを繰り返しました。ある程度症状が落ち着 き、黄汁がほとんど出なくなったところで、新鮮な植物性油脂を少し多めにとるよう にアドバイスしました。この民間療法では、症状が完全になくなるまでは、植物性油 脂は、ほとんど取らないのですが、私は、それでは余計に悪化する事を経験していま したので、そうアドバイスしました。この方は、アドバイスにかなり納得して頂いた せいか、治りが非常に早く、3カ月後には、別人の様にすっきりとした顔になってい ました。お化粧までしてきたので、一瞬誰か分からないくらいでした。彼女は妊娠中 で、ステロイド剤を一切使っていなかったため、治りが特に速かったようです。
     よくアトピーには「爆発」といわれる現象があって、それまで軽症だったのにあれ よあれよと言う間に重症化する事がありますが、そういう方の体験談をきくと、食生 活は全く変えていなくても、運動量が急激に減った後等(2、3カ月後)に起こる事も 多いようです。


    ケース4 朝、夕の牛乳をやめ、おかずを減らして、喘息発作が激減

    (8才の男の子 (食事改善開始時7才))

    会員さんの声で紹介したY.S さんの子供さんです 。子供の同級生で、ご近所のS君とは、何度か顔を合わせた事がありましたが、喘息 と知ったのは、入院した事を子供が学校で聞いてきた時でした。退院後、少し落ち着 いた頃に声をかけ、交流会に来てもらいました。病院の血液検査では、食べ物もダニ 、ハウスダストも、反応はなく、原因は特定されていませんでした。始めは「アトピ ーについては納得できたけど、喘息は違うんじゃない?」とおっしゃっていたお母さ んですが、会員の皆さんの「うちは交互に出た」「うちは喘息が治って皮膚炎になっ た」との声に、食事療法を試してみる事に。
    皮膚炎と違って、原因を特定するのは難しいのですが、食事日誌と、色白な事、まぶ たが腫れぼったい事などから、蛋白質過剰が主因と考え、蛋白質の減量と、肉類も少 し減らすことをアドバイスしました。
    「まぶたの腫れぼったいのは生まれ付き」と思っていたそうですが、熱を出すと二重 まぶたになっていたそうです。
    交流会の4日後、お電話で「あれから朝晩有った発作がうそのように無くなった んです。1日3本飲んでいた牛乳を、給食の時のみにしただけなのに。でも、今朝は発 作が有ったんですけど、昨日の揚げギョウザを6個と思ってたのに、2個多く食べちゃ って。そのせいでしょうか?」
    「ギョウザ2個でってことはないと思うけど、牛乳を減らしたのは、確かに効果が出 ていると思いますよ」
    皮膚炎でもそうですけど、かゆみが一度治まっても、まだ湿疹が残っている間は 、ちょっとした刺激でまた悪化する事はよくあります。
    4月の小雨の降るある日曜日に、またお電話を頂きました。「去年の春ごろなら、こ んな日は、吸入をしながらそれでもゼロゼロ言って、一日中ごろごろしていたんです 。今日は、吸入もしていないのに、ぜんぜん何ともなくて、普通に遊んでいるんです よ。」こういうお電話は本当にうれしいです。 細かい事は苦手との事で、あまり詳しいアドバイスはしなかったのですが、ご近所で お会いする度に、「調子いいんですよ。うそみたい。牛乳は家には置かない事にして 、唐揚げなら、今まで 2 パック使っていたのを1 パックにというようにしただけ なのに。(陰の声:うわぁ。やっぱり多かったのね。親子4人(4才と8 才)で2パックとは・・)」とおっしゃっていました。今回文章にまとめても らって、その効果の程に、私も驚いているところです。
    蛋白質過剰が主因の場合、このように、とても改善が早い場合が多いのです。症状の 軽減にともなって、運動を始めた事も、相乗効果になっているのでしょう。
    最近久しぶりにS君に会ったら、まぶたがすっきりとなっていました。

    ☆ご本人の声


    ケース5 晩酌のおつまみが、蛋白質過剰の原因だったようです。
    (30代男性)

    会員さんの声で紹介したY.N さんです。アトピーのオーバーフローモデルについて奥さんにお話ししたところ、始めは、ご主人に当てはまる物が見当たらないと、おしゃってい ました。Nさんは、アトピーには肉類がよくないと思い、10年ほど前からほとんど肉類をとらないようにしていると、おっしゃるのです。湿疹の様子をお聞きする限りは、動物性脂肪タイプに思えたのですが、私もご主人にはお会いした事がありませんでしたので、とりあえず食事日誌を1週間付けていただき、原因と考えられるものがないか調べてみる事にしました。
    食事日誌を付けてもらったところ、確かに朝、夕の食事内容は肉類はほとんど無く、和食中心でしたが、お勤め先で食べる昼食が外食で、ギョウザ、ラーメン、牛丼・・・と、肉類を多く摂っていました。奥さんも「改めて聞いてみたら、結構食べていたわ。」と、驚いていました。同僚に、こういう食事を好む方がいらっしゃるようで、どうしても、多くなっていたようです。その後は、お好み焼きなども、「豚玉」だったのを、「エビ玉」や「イカ玉」に変えたりで、極力減らすようにされているそうです。
    もう一つ気になるのが、毎晩の晩酌のおつまみでした。ご飯はほとんど食べずおかずが2〜3品あるため、和食とは言え、おかず中の蛋白質がどうしても多くなっていたようです。お豆腐などが大好きで、よく食べていらしたそうです。そこで、おつまみとして、野菜を主体にした料理も、多く取り入れるようにアドバイスしました。たとえば、とろろ芋になめ茸の醤油漬けを混ぜたもの、おでんなら、はんぺんばかりでなく、コンニャクや大根やレンコン、ニンジンなど野菜を多くする。などなど。
    ご主人も、「一度頑張ってやってみる」と言われて、その効果を実感して下さったようです。12月にデパートでちらっとお会いした時には、アトピーとは思えない位回復されていました。その時は、「動物性脂肪が多く、ステロイド剤を使っていたにしては回復が随分早い」と思ったのですが、今回ご本人に文章にまとめて頂いて、ステロイド剤を止めたのが春で、リバウンドがすでに春から夏にかけて起こっていた事がわかり、納得しました。(奥さんの話からは、アドバイスをした10月以降と思っていたので)もともと肉類を控えめにしていたのも、良かったのでしょう。

    ☆ご本人の声

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