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ステロイド剤について

アトピーなんか飛んで行け!の会

ステロイド剤の正体は?
2010.7.4
 アトピー性皮膚炎(以下アトピーと略)に関しては、様々な情報が飛 び交っており、どれを信用すれ ばいいのか分からなくなります。私も、様々な情報に翻弄された一人でした。しかし 、今まで悩まされていた皮疹の原因が分かってみると、だんだんと色々な事が見えて きました。そこで 、私なりにいろいろな情報を分析し整理した結果をお伝えしたいと思っています。
尚、このページは、よりよい情報をお伝えするため、お断りなく内容を更新していき ますので、ご了承下さい。
 


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 病院へ行くと必ずと言っていい程処方されるステロイド剤。皮膚科医 の多くは、指示通りに使っていれば副作用は無くこんなに有効な薬は無いといいます し、別の医師は、成人アトピーの大部分はステロイド皮膚症であり、直ちに塗るのを やめなければ大変な事になると言います。いったいどちらが正しいのでしょうか?
 多くの皮膚科医は、ステロイド剤で症状を抑え、治まったらすぐに弱い薬に変えて いき、非ステロイド剤に移行すれば良い。だらだらと使うから副作用が出るといいま す。また、塗り薬(外用剤)を長期間使用したからと言って、全身性の副作用が起こ るとは考えられないとも言います。
 しかし好き好んで長期間使う人など誰もいません。塗ってすぐは確かにきれいにな っても、塗るのを止めるとすぐにまた酷い状態になるためまた塗る。それを繰り返し ているうちにステロイド剤が手放せなくなるのです。 (図1)つまり「原因」を除きもせずに ステロイド剤で一時しのぎをしていては、多くの皮膚科医が言うようにステロイド剤 を簡単 に止めることはできません。これは建前論でしかないのです。
 長期間ステロイド外用剤を使用し、皮膚が固くなり、血行も悪くなったり全身性の 副作用に苦しんでいる患者さんが大勢いるにも係らず、ステロイド外用剤の害を認めようとし ない医師が多いのは非常に残念です。

 しかし、だからと言って、ほんの少し使っただけで、大変な事になるのでしょうか 。実は、ステロイド剤について一番問題となっているのは、使っている間よりもむし ろ、一気に止めた時のリバウンド現象です。

  


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 長年ステロイド剤(内服、外用)を使い続けていたアトピー性皮膚炎 患者が、急にステロイド剤を断つと、今までに無いほどのひどい症状が急に現れる事が多く、これは リバウンド現象と呼ばれています。これについて、以下のような説明をされる方がい ます。

 『長年ステロイド剤を使用していたために、もともと体内でステロイドホルモンを 作っている副腎皮質が委縮して、ステロイドホルモンを出さなくなり、外部からのス テロイド剤に依存する状態になっているために、急に切ることで、ステロイドホルモ ンの不足状態になり、そのためにこういう症状が出る。』

 しかし本当にそうでしょうか。もし本当にそれだけの話であれば、ステロイド剤を 体外から補っている間は、何の問題もなく皮膚はきれいな状態のはずです。
しかし、長年ステロイド剤を使い続けていて、副作用が出たとして、1981年 ステロイド剤を説明と同意なしに出し続けた医師・病院の医療過失を訴えて裁判を起こした江崎ひろこさんの本( 『顔つぶれても輝いて-ステロイド軟膏禍訴訟6年の記録-』一光社)によると、長年のステロイド剤の使用により、皮膚が黒ずんできたり、赤おに、青おに様顔貌と言って、顔の皮膚が厚くなっ てまるで鬼の顔のような状態になったりという、とても正常とは思えない状態になってしまうのです。これは、ステロイド剤自体が 何か悪さをしているとしか考えられません。

 ステロイド軟膏のアトピー性皮膚炎に対する効能は、一般に抗炎症作用と言われて います。炎症の起きている皮膚の血管は、透過性が増しており、そこから血清蛋白が 滲み出て炎症を起こすので、血管を収縮させる作用の有るステロイドが有効であると 言うことです。透過性を増している原因に対して効いているのでは無く、その結果起 きている現象を抑えていると言う説明です。また、ステロイド剤は、抗原抗体反応を 抑制する働きも有るため、これがアトピー性皮膚炎に有効であるとも言われています 。

 私は、「アトピーはアレルギーではない」と考えるに至ったのですが、それではど うして抗炎症剤であるステロイド剤がアトピー性皮膚炎の皮疹に効果があるのかという疑問がわきます。
私は、ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎に対して、免疫抑制作用と は全く別のメカニズムで効いているのではないかと考えました。

 詳しくは「アトピーなんか飛んで行け! アトピー克服実践マニュアル」に書きましたが、アト ピーの場合のメ カニズムの一つが、腕や足の皮膚に溢れた脂肪に塗ると、その脂肪を体幹部(顔、首 さらには内臓周囲)に移動させる事ではないかと思います。
ステロイドはもともと副 腎皮質から分泌されるホルモンの一つで、体細胞の代謝を調節する作用が有ります。 つまり、脂肪や蛋白質を代謝するのに重要な役割を果たしているのです。普通この作用は ステロイド剤の副作用として述べられていますが、私はこれこそがアトピー性皮膚炎 の皮疹の一つ(植物性油脂、動物性脂肪過剰タイプ)に対する主作用ではないかと考 えたのです。

 こう考えると、アトピーでステロイド剤を長期に使った人が、顔の肌が固くなり、 まるで老人のようになったり(動物性脂肪)真っ赤になったり、腫れぼったくなった り(植物性油脂)するのも頷けます。また、お腹が異様に膨らんだり、脂肪肝になり やすいというのも納得がいきます。そして何よりも、急にステロイド剤を止めた時に 、今まで塗っていなかった部分にまで、湿疹が広がり、黄色い汁や、べたべたとした まるで<油のような>分泌物が出ると言うのも、説明がつくのです。

これは、ステロイド剤の作用により内臓周囲に蓄えられた脂肪が、突然束縛を解かれ、血中に放 出され、顔、体の皮膚、さらには粘膜、目などから溢れだす現象なのではないでしょ うか。

 つまりリバ ウンド現象とは、ステロイド剤その物の反応というよりも、アトピーの原因である過 剰な油脂を大量に体内にため込んでおいて、それを一気にぶちまけるために起 きる、油その物の反応ではないかと思います。 (図2)

ちなみに、このリバウンド現象は、一般にステロイド剤を長期間使用した場合に起こ ると言われているようですが、実は、体内にどれだけの脂肪が蓄積されているかが問 題であり、強いステロイド剤(内服、外用とも)を大量に使った場合は、期間の長短 に関らずリバウンド現象が起こる事は、よく経験します。  本当は、余分な脂肪を皮膚から排泄するというのは、一種の防衛反応であり、皮膚 から出た脂肪 はお風呂に入ったときに洗い流されたり、あるいはあかとして落ちたりすることがで きるのです。そうやって余分な、あるいは有害な脂肪を除去しているのですが、薬に よってわざわざそ れを妨害していたのではないでしょうか。

 
 


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 蛋白質や脂肪を取り過ぎていたために起きる皮膚炎ですが、これらを しばらく除去する食事療法をすると、一時はだんだん症状も減ってきてとても素晴ら しい療法であると感激するものの、しばらくすると、またひどい皮膚炎が現れてがっ かりすることがよく有ります。 これは、体内(内臓周囲など)に溜まっている脂肪が、しばらくするとまた放出され るために起きる現 象ではないかと考えています。蛋白質は体に余分に蓄えることが出来ないため、蛋白 質過剰タイプの人はすんなりと回復する人が多いのですが、脂肪過剰タイプの場合は 、一旦きれいになった後、また顔から順番に皮膚炎が出始め、次第に胸・腹・手・足 など体の下の方に降りて行き、一巡するとまた顔から始まると言うのを何度か繰り返 して次第にきれいな皮膚になって行きます。
この現象は、下関市立中央病院の永田良 隆先生が発見された現象で、「噴き出し現象」と名付けられています。あたかも体の 中から悪いものが噴き出しているような現象なので名付けられたそうですが、実に的 を射たネーミングだと思います。
 脂肪過剰タイプで、重症だった人の場合、食事療法で油を少ししか取らないように しても、症状が完全に無くなるまでには、この噴き出し現象を何回も繰り返して、普 通2〜3カ月はかかります。ステロイド剤を長期間使っていて、脂肪が体内に多く蓄 積されている人は、もっと長くかかります。長年の経験から、この噴き出し現象は、大潮の時期の前後に起こりやすいと感じています。
 
 
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 ステロイド剤が成人アトピーの主因であるとする方達は、ステロイド 剤を一気に止める事を薦めるようです。そして大変なリバウンド、噴き出し現象の後 で、少なくともステロイド剤を使わなくて済むようになったのだからアト ピーが軽減したと言われるようです。
 確かに、長期連用に警鐘を鳴らされ、ステ ロイド剤に頼らない治療法を模索されている点は大変評価できます。
 しかしそれだけ では、図 1から図3になっただけ で、皮疹が出る事に変りはありません。
 この状態をステロイドの副作用であると説明 する方も有るようです。しかし、もともと、ステロイド剤を使いだした時には、アト ピーがあったはずですから、この状態は、単にもとのアトピーに戻ったにすぎないの ではないでしょうか。
  つまり、図4の状態にならなければ、アトピーが治ったとは言 えないと思います。
 そしてそのためには、一気に止めて社会生活ができなくなる事よりも 、摂取する脂肪量を制限しながら(食事療法をしながら)、体内の脂肪を徐々に減ら していき、皮膚に大量に 溢れない程度に徐々にステロイド剤を減量して行くのがベストではないかと私は思い ます。そして、それは実現可能なことです。
 脱ステロイドを試みられている医師の皆 さんには、是非ご検討頂きたいと思います。

2010年追記:最近食生活の改善をしながらステロイド剤を徐々に離脱することを提唱する医師が一部いらっしゃるようです。私たちが訴えてきたことが伝わり、認められたのならうれしいことです。

 



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