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アトピー性皮膚炎について Part 2
アトピーなんか飛んで行け!の会
谷 尾 敦 子

   私は、ある特定の食べ物の中に含まれる「アレル ゲン」によって 炎症が起きるのとは別に、食生活のバランスが崩れてある「栄養素」を食べ過ぎた時や、運動量が少なくて余ってしまった時に湿疹となる現象があるのではないかと考えるようになりました。
 植物に与える肥料が高濃度すぎたり、成長の止まっている冬場に夏と同じように肥料を与えると、植物は油やけを起こしたり、葉の精気が失われたりする事は周知の事実です。特に肥料中の窒素量(人間の蛋白質に当たる)が高すぎると、カビや虫がつきやすいと言われています。同じような事が人間でも起り得るのではないかと考えました。そして1年間私が我 が子達の症状や他の患者さん達の症状を診させて頂いて考え出したのが、以下のモデルで す。つまり、食養生により「自然治癒力の向上」をはかるなどというあいまいな考え方ではなく、もっと直接的に具体的に湿疹の原因を食生活に結び付けて考えました。私は、この湿疹が、あたかも余分な栄養分が皮膚に溢れだす(オーバーフロー)ようなので、「アトピーのオーバーフローモデル」と、名付けることにしました。アトピー性皮膚炎には少なくとも4つの要因が関係しているのではないかと考えています。

 
アトピー性皮膚炎の4つの要因   (図アトピーの湯船参照)
蛋白質の過剰動物性脂肪の過剰と植物油の不足
このタイプの特徴
  • 蛋白質は大事な栄養素であり、不足させては大変と思う  
  • 「ご飯は残してもいいからおかずは食べなさい。」とよく子供に言う  
  • 蛋白質は太らないから食べ過ぎても大丈夫と思う  
  • 子供の体が小さいのでたくさん食べさせたい  
  • 卵や大豆などを食べると症状が悪化する気がする  
  • 同年代の人と比べてよく食べる  
  • 夏は症状がましだが、あせもがひどい
  • 肉類が好き 
  • 乳製品をよく食べる 
  • フケ性
  • レトルト食品をよく 食べる
  • 運動すると皮膚がかさかさになったり、のどがいがらっぽくなる
  • 便秘や下痢 が多い  
  • 便がべたーとしていて、トイレで流れにくい
  • 便秘がちで、便がころころとしている
  • 湿疹その他の主な特徴
  • 乳児:ほっぺたのぷつぷつや赤み(ちちかぶれ)  
  • 幼児:関節の外側や手首・足首のぷつぷつ、おねしょ  
  • 児童:関節の外側や手の甲にぷつぷつや厚い湿疹、喘息  
  • 大人:主婦手湿疹、片頭痛、花粉症、関節痛 
  • 乳児:下痢や嘔吐、脂漏性湿疹(硬い湿疹)  
  • 幼児以降:良く運動する子は、肌がかさかさになり、ひじやひざの内側に赤い 湿疹が出来る、喘息  
  • 思春期:にきびが出やすい、肌がかさつく、喘息  
  • 成人:苔せん化湿疹、脂肪腫、成人病、冷え性、生理痛、生理不順、 花粉症
  • 湿疹が出る訳 蛋白質は過剰に食べても余分に貯蔵する器官は無く、食べ過ぎると汗や尿として排泄されますが、その排泄能力を越えて食べると、NOというガスが発生し、血管を拡張しその時湿疹ができると考えます。 人間よりも体温の高い動物(牛、豚、羊など)の脂肪由来の飽和脂肪酸は  人間の体内で固まりやすいため、体外に排泄しようとして、下痢や嘔吐、 一旦体内に吸収された後は、にきび、湿疹などとなる。動物性脂肪由来の飽和脂肪酸は植物性油脂由来の不飽和脂肪酸などで構成するカゴ(リポ蛋白)に包んで血液中を移動しなければならないため、動物性脂肪を大量に食べると、植物性油脂由来の不飽和脂肪酸の不足状態 になり、セラミド(リノール酸由来)が減少し肌やのどの粘膜がかさつく
    植物性油脂の過剰砂糖の過剰
    このタイプの特徴
  • 油料理が好き
  • 疲れやすい
  • 運動が苦手  
  • 太らないようにご飯は少なめに食べる  
  • 運動すると体の中から痒みが沸いてくる感じ
  • 甘いものが好きで、ご飯をきちんと食べない  
  • 野菜が嫌い
  • ジュースなどをよく飲む
  • 湿疹その他の主な特徴
  • 乳児:顔が赤くなり、掻きむしると黄色い汁が出る(黄色は植物油由来の不飽和脂肪酸の色と思われる)  
  • 幼児以降:運動が苦手な人や、急にスポーツをやめたりすると、顔や背中がが さがさになり、重症では全身に湿疹ができる。
    結膜炎、鼻炎
  • 甘いものを大量に食べる人は、中耳炎、吹き出物、アトピー性皮膚炎の悪化など
  • 湿疹が出る訳  脂肪を過剰に食べると、皮下脂肪として蓄えられるが、この時炭水化物が必 要なため、ご飯等の量が不足すると、余った脂肪は血液中にだぶつき、やがて皮膚か ら排泄されるとき酸化されて痒み成分に変わり、掻き壊す事によって湿疹(皮疹)を 作る。  糖質を大量に取ると体内で脂肪に変わりますが、これは人間が作る脂肪のため「飽和脂肪酸」となります。(→動物性脂肪の過剰と植物油の不足の欄)また血中の糖質が多いと、赤血球の粘度が上がり、血液の循環が悪くなります。それらの影響により皮膚炎の悪化などの害を及ぼします。

    注:ここに記載しているのは、「アトピーなんか飛んで行け! アトピー克服実践マニュアル」の内容の極一部です。更に詳しい内容をお知りになりたい方は、詳細・購入方法よりご購入ください。


    アトピー性皮膚炎ってほんとうは何?へ
     私が、アトピー性皮膚炎を治すために東洋医学的な考え方である「食養生」という 考え方を学んだのは、娘が5歳の時でした。
     私の二人の子供達は、生まれてすぐからアトピー性皮膚炎があり、血液検査を受け ましたが、食べ物に対しても、ダニやハウスダストに対しても、反応はありませんで した。しかし、卵や牛乳を口にすると、確かに悪化するので、それらはなるべく控え るようにし、二人のアトピーは、成長と共に徐々に軽減して行きました。
    ところが、娘が5才の11月にアトピー性皮膚炎が急に悪化し、何をしても 全く治ら ず、医師にも「食べ物は関係ありません。様子を見ましょう」としか言ってもらえず 、途方に暮れていた時に、ある民間料理教室の食事療法を知り、それにかけてみよう と思ったのです。

    油ものや肉類を一切止め、ご飯を5、野菜を2、魚を1の割合という、日本人が昔食べ ていた食事に戻しただけで、全身じくじくだった娘の皮膚炎は徐々に乾燥して行き、 湿疹が次第になくなり、そして3カ月でつるつるの肌になりました。(油ものを一切止めたの は、行き過ぎであったと今は思っています。)
      私自身、以前は「洋食に偏った食生活は良くない」と、耳にはしていても、自分 では、魚と肉を交互に「バランスよく」とって、野菜も十分に取って、食生活には随 分注意しているつもりでした。しかしそれはちっとも「バランスの良い」食事では無 かった事を思い知りました。

     しかし、それにしても、アレルギー性疾患と言われているアトピー性皮膚炎が、な ぜこのような食事をするだけで治ってしまうのか不思議でした。また、なぜ魚は良く て、肉類は良くないのかも分かりませんでした。そこで、色々自分なりに勉強し、子 供の様子を観察して考え出したのが、今提唱しているモデルです。

     でも始めから今のようにいくつもの要因が分かっていたわけではありません。最 初に分かったのは蛋白質の過剰でした。これは、卵や魚などを、必要以 上に食べ過ぎた時に湿疹として現れる事が分かりました。
    次に分かったのが植物性油脂の過剰でした。植物性脂肪の取り過ぎで湿疹が出るという考え方は、 それまで思っても見ませんでしたが、あるとき下関市立中央病院の永田良隆先生の「 アトピー性皮膚炎ハンドブック」 女子栄養大学出版部を見たとき、それを確信しま した。私の行っていた民間療法でも、「胃の負担を減らすために、油を抜く」方針で 、わが家でもかなり減らしていて、良くなったからです。
     しかし、わが家の場合、悪化したのは、非常に短期間の間で、回復したのも短期間 でしたし、リノール酸は、悪化する前も、回復後も取っているので、この本の中で説 明されている、リノール酸が悪くて、リノレイン酸が良いと言うのは、納得がいきま せんでした。そこで注目したのが、この本の中に「運動をすると、植物油の害が軽減 される」と書いてあった事だったのです。娘の湿疹が悪化した前後で大きく変わった ことが、運動量であったことに気付いたからです。娘の場合、運動量が急激に減った のに、それまでと同じ量の油を取っていたのが悪化原因でした。運動量が減り、食欲 が無くなった娘に、私は世間でよく言われるように、「ご飯は残してもいいからおか ずだけは食べなさい」と言ってしまっていたのです。これは、炭水化物は少なく、脂 肪と蛋白質は過剰になるというアンバランスな食事に結果的になっていたのです。運 動量を増やせば、リノール酸を取っていても、湿疹が悪化する事はありません。 従 って私は、「リノール酸の除去」をするのでは無く、必要量だけを取るように、「制 限」する事が重要と思いました。

    この本には、「噴き出し現象」と言って、皮膚が再生するのにはサイクルがあって 、次第に回復していく事が書かれていますが、これは娘が治っていく過程で私が気付 いた現象と全く同じでした。しかしこの時私は、滴り落ちるかと思うくらい出ていた 黄色い汁が、食事の改善とともに次第に無色になり、やがて乾燥して行き、そして新 しい皮膚が再生されていった過程を思い出しました。そしてこの時、この黄色い色が 植物性油脂由来の色だったのではないかと思ったのです。この汁がついた服などを洗濯す ると分かりますが、この黄色い汁は、「まるで油のように」なかなか落ちません。薬 の基剤にも油は使われていますが、薬だけの部分とも違うしつこい汚れなのです。高 脂血症のあるタイプの人の血清を遠心分離すると、黄色い油の層が上にできるという 話をある方から聞きました。この現象はまさに植物油の過剰状態が治っていくときの現 象そのものだったのではないでしょうか。

    こうして夏が過ぎ、秋になっても二人の肌はつるつるで、何の問題もありませんでし た。これで子供たちのアトピーはほぼ克服できたかに思えました。
     しかし次の冬、肉類をいっさい食べていなかった娘は、アトピー性皮膚炎の再発も なく非常に順調でしたが、その食事に付き合っていた息子の方が、今までにないほど 湿疹が悪化してしまいました。うちでは、肉類はほとんど食べていないし、油もほと んど使っていないのに、なぜ悪化するのか、最初は全く分かりませんでした。彼は 、小学校で給食を食べていましたので、その中の肉類が悪いのではないかと考えまし た。しかし、同じ蛋白質である魚と獣肉でどうして害が出たり出なかったりするのか 分かりません。すでに「アレルゲン」という考え方は信じていませんでした。

     そこで私は、「蛋白質」ではなく、「脂肪」の違いではないかと考えたのです。成 人病(現在は生活習慣病)の予防のためには、魚を多めに食べ、肉類を減らすのが良 いのは知っていましたが、それも「なぜ」と言われるとはっきりとした答えは分かり ません。そこでいろいろな栄養学の本を調べて行くうちに、動物それぞれ個々の種類 によって、脂肪の融点が違うこと、動物の体内では脂肪は本来は液状で存在しなけれ ばならない事などがわかりました。つまり、人間よりも体温の高い動物の脂は、人間 の体内に入ると、冷えて固まってしまう事が分かったのです。人間の体内で固まって しまう脂肪は、下痢(脂肪性下痢)をしたり、脂漏性湿疹となったり、あらゆる方法 で体外に出そうとする力が働く事も分かりました。こうして動物性脂肪過剰タイ プの湿疹の存在がわかりました。特に鳥よりも豚脂、牛脂の害が大きい事も分かり ました。また、このタイプの場合、運動すると余計に悪化しやすく、植物性油脂を控 え過ぎるのもかえって悪化の原因になることも経験的に分かりました。
    その頃学校給食では、牛肉の使用頻度が特に多くなっていましたので、牛肉のおか ずの時のみ、別のおかずを持参する事に決め、約1カ月で、息子の湿疹もかなりきれ いになり、3カ月後には、ほとんど普通の肌に戻ることができました。

     こうして、三大栄養素の内、蛋白質、脂肪の過剰によって湿疹が出る事を確信しま した。残りの一つ炭水化物の害については、肥満や糖尿病がすでに医学界でも認めら れていますが、しかしジュースやお菓子を食べ過ぎる人の中に吹き出物やにきびや浸出性 中耳炎の症状があり、食事の改善で治る人がいる事も、料理教室で知りました。過剰な糖質は体内で脂肪に変わりますが、これは、人間が作る脂肪なので、飽和脂肪酸です。ですから、これも動物性脂肪過剰タイ プに含まれると思います。また、この タイプの人には、野菜嫌いの人も多い事から、これはビタミン、ミネラルの不足 により、代謝がスムースに行かないのも原因の一つではないかと考えています。 また、脂肪過剰タイプの場合はビタミン C, E が、蛋白質過剰タイプの場合にはビタ ミンB6の不足も影響してくると考えています。

     今アレルギー症と言われている数々の病気(花粉症など)の中にも、実は食事を変えるだけで治る場 合が多数あると思っています。食生活の改善で効果を上げてい らっしゃる医師も数多くいらっしゃると 思っています。ただ、「なぜ治るのか」の 説明が、「アレルギー」に対しての説明だったり、うまく説明できないために、なか なか世間に受け入れられないのではないかと思っています。そういう医師の皆さんと 、ネットワークがつながって行き、身近な病院でも気軽に治療が受けられるようにな ることを、願っています。

    注:文中の下関市立中央病院の永田良隆先生のアトピー性皮膚炎の とらえ方、食事指導の内容は、当会とは異なります。


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